カテゴリー別アーカイブ: DURC

米・合成生物学が提示するバイオディフェンスの脆弱性についての委員会

全米アカデミーズ(The National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、米・国防総省(DOD)からの資金を受けて、合成生物学が提示するバイオディフェンスの脆弱性について議論するための委員会(Committee on Strategies for Identifying and Addressing Biodefence Vulnerabilities Posed by Synthetic Biology)を設置している。その第4回目の会合が、2017年7月6日、ワシントンD.C.で開催された。会合では、自然発生的な感染症に対応するための事前準備の強化が、合成生物学の悪用に備えることにもつながるという意見が出されていた。委員会での議論は、今後、米国政府が資金を提供する合成生物学の研究に影響を与える可能性がある。

The Pentagon Ponders the Threat of Synthetic Bioweapons

Wired Monday, July 10, 2017

https://www.wired.com/story/the-pentagon-ponders-the-threat-of-synthetic-bioweapons/

カナダの研究グループ、天然痘と近縁のウイルスを合成

カナダの研究グループは、メールオーダーでDNA断片を注文して、天然痘と近縁のウイルスである馬痘(horse pox)ウイルスを人工的に合成した。その費用は、約10万ドルである。研究は正当な目的で行われたものであるが、敵意ある国家やテロ組織が、同じ方法で天然痘ウイルスを合成することが懸念されている。

Canadian group creates poxvirus, prompting dual-use discussion

CIDRAP Friday, July 7, 2017

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2017/07/canadian-group-creates-poxvirus-prompting-dual-use-discussion

 

How Canadian researchers reconstituted an extinct poxvirus for $100,000 using mail-order DNA

Science Thursday, July 6, 2017

http://www.sciencemag.org/news/2017/07/how-canadian-researchers-built-poxvirus-100000-using-mail-order-dna

第2回バイオセキュリティ研究会会議録を作成しました。

第2回バイオセキュリティ研究会:テーマ「生物兵器禁止条約」の会議録を作成しましたので公開いたします。

なお、7/13開催予定の第3回バイオセキュリティ研究会では希望者の方に冊子を配布いたします(一人1冊まで)。

 

第2回バイオセキュリティ研究会アジェンダを公開します。

来週3月15日に開催が迫りました第2回バイオセキュリティ研究会アジェンダを公開致します。

参加登録がお済みでないかたはこちらからご登録をお願い致します。アクセスできない場合は、ご所属、氏名を添えて以下のアドレスにメールでお申し込みください。
seminar(アットマーク)biosecurity.jp ( (アットーマーク)を@に変えて送信してください)定員(90名)に達し次第締め切ります。
申し込み期限: 平成29年3月10日金曜日 3月14日まで受け付けます。

 

 

演題1「第8回生物兵器禁止条約運用検討会議報告」

演者 礒崎 恒明 外務省軍縮不拡散・科学部生物・化学兵器禁止条約室長

BWCの枠組みでは,5年に1度,条約の運用を確認するために,運用検討会議が行われている。昨年の11月に第8回運用検討会議が開催され,会期間活動のあり方や国際協力などについて議論が行われた。しかし,西側諸国とNAM諸国,ロシアとは,条約の強化の必要性については一致するものの,会期間活動のあり方については大きく考え方が異なっており,今回の運用検討会議の期間中には妥協が成立せず,最終的にはISUの存続,スポンサーシップの継続を除き,新たな措置について合意が成立しなかった。その結果,今後の会期間活動については本年12月の締約国会合に議論が持ち越されることとなった。本研究会では,今回の運用検討会議を振り返りつつ,BWCにおける各国の主張やBWCの今後について考察する。

演題2「生物兵器禁止条約における対立構造」

演者 田中 極子 防衛省防衛研究所理論研究部社会・経済研究室 主任研究官

BWCは主文15条からなる短い条約であり、締約国による義務の履行を確認するための検証機能も常設機関も有していない。そのため、締約国は独自の脅威認識に基づく実行力強化のためのアプローチを追求している。第8回運用検討会議においては、バイオ脅威に対する各国の認識の相違が明示され、そのためにBWCの実効力強化のアプローチとしての共通認識を築くことができなかった。そこで、生命科学分野の知識や技術に対する保健衛生と安全保障という異なる視点に基づくデュアルユース・ジレンマに注目し、BWCの枠組みにおける各国の対立構造を検証する。

演題3「信頼醸成措置(CBM)の今後の役割」

演者 天野 修司 日本医療科学大学保健医療学部 助教

BWCでは、1986年の第2回運用検討会議で、情報交換によって条約の透明性を高める信頼醸成措置(CBM)の導入が合意された。CBM導入の当初の目的は、「曖昧さ、疑念、疑惑の発生の防止あるいは低減、および平和的な生物学的活動の分野における国際協力の促進」である。当時、「曖昧さ、疑念、疑惑」があると考えられていたのは、国家による生物兵器の開発、生産、貯蔵、取得などの活動であった。しかし、現在では、生命科学の急速な進展によって、技術的には、個人であっても致死性の高い病原体の兵器化が可能になっている。そのような時代の変化にあわせて、CBMの役割がどのように変わってきたかについて検討する。

休 憩
演題4「生命科学のデュアルユース性に関する議論の今後」

演者 四ノ宮 成祥 防衛医科大学校分子生体制御学講座 教授

生命科学のデュアルユース問題、特に病原体研究における悪用・誤用の問題は、2000年頃までは主に「組換えDNA手技による従来型微生物の改変が、典型的な感染症とは異なる病像を呈したり、ワクチン効果や診断技術に影響を及ぼす」といった観点から成されていた。2004年のFinkレポートの問題提起は、まさにこの点を中心とした議論であった。しかし、合成生物学やゲノム編集技術が急速に進歩する現状にあって、デュアルユース性の考え方は大きく拡大する方向にある。また、ここ数年特に問題となったGain of Function (GOF)研究については、Risk-Benefit解析のみでは論じ得ない複雑な背景があり、繰り返しの議論の末にある一定の結論は出たものの、研究の細部を評価するに当たっては不確定な部分が多い。このような現状に鑑み、本パネルでは今後の議論において考慮すべき点を提起する。

演題5「我が国における生命科学者によるデュアルユース問題認識の現状」

演者 峯畑 昌道 科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー

科学技術の誤用・悪用に伴う安全保障上もしくは公衆衛生上の脅威(デュアルユース問題)について、科学者の意識啓発が必ずしも十分でない事実がこれまで国際的に指摘されてきた。我が国では、日本学術会議が2013年に改訂を行った声明「科学者の行動規範-改訂版-」の中には、科学者が研究活動に際して考慮すべき事項として「科学研究の利用の両義性」が明記され、この声明を受けて、病原体研究に関するデュアルユース問題分科会が2014年に提言も発表している。本報告では、我が国の高等教育機関において、どの程度当該問題が認識されているのか、また、何が意識啓発の推進に向けた課題となっているのかを検討する。

総合討論「生物兵器禁止条約の生物兵器・テロ対策における今後の意義」

モデレーター 齋藤 智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部 上席主任研究官

生物兵器禁止条約という外交交渉の場は、生物兵器・テロ対策にどのように寄与してきただろうか。また、今回の運用検討会合における議論の決裂は、生物兵器・テロ対策に今後どのような影響を与えるだろうか。もし、対策の弱体化が懸念されるとすれば、我々はどのような行動をとる必要があるのだろうか。演者・参加者と共に、多様な視点から議論を深めていきたい。

第2回バイオセキュリティ研究会を開催します。

第2回バイオセキュリティ研究会

グローバルな感染症の脅威への対策は、伝統的な学問領域の境界を逸脱しつつある。従来は公衆衛生の問題と考えられていた感染症の流行が、いまや国家や国際社会の危機管理上の最優先課題として度々取り扱われている。他方、安全保障学・政治学の分野でも、生物兵器・テロ対策の文脈から永く議論されてきたが、現実的な対応には公衆衛生の専門家の存在は欠かせない。分野横断的にグローバルなバイオセキュリティのランドスケープを捉えることで問題を整理し、既存の学問体系を再整理して現実に即した解決を提示する新たな学問領域のフレームワークを提示していくことが本研究会の目的である。第2回研究会は、「生物兵器禁止条約」をテーマとして取り上げる。検証制度を有しない本条約は、履行の確保を促進するために、「予防の包囲網」と呼ばれる多角的な取組みを進め、概ね5年に1回の運用検討会議間に「会期間活動」と呼ばれる取組みを行い、成果を積み上げて来た。しかし、昨年11月の第8回運用検討会合では、議論が決裂し、本条約下での活動が大幅に縮小する事態となった。これまでに積み重ねられて来た議論を振り返りつつ、今後の本条約の生物テロ対策における意義を検討する。

プログラム

第8回生物兵器禁止条約運用検討会議報告
 礒崎 恒明
外務省軍縮不拡散・科学部生物・化学兵器禁止条約室長

生物兵器禁止条約における対立構造
 田中 極子 防衛省防衛研究所

信頼醸成措置(CBM)の今後の役割
 天野 修司 日本医療科学大学

生命科学のデュアルユース性に関する議論の今後
四ノ宮 成祥 防衛医科大学校分子生体制御学講座

我が国における生命科学者によるデュアルユース問題認識の現状
峯畑 昌道 科学技術振興機構

総合討論
 モデレーター:齋藤智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部

開催日時と場所

平成29315日(13:30~16:30
AP新橋虎ノ門 会議室 I+J
東京都港区西新橋1丁目6番15号NS虎ノ門ビル3階
アクセス(外部リンク)

参加申し込み

申し込みはこちらからお願いします。

アクセスできない場合は、ご所属、氏名を添えて以下のアドレスにメールでお申し込みください。
seminar(アットマーク)biosecurity.jp ( (アットーマーク)を@に変えて送信してください)

定員(90名)に達し次第締め切ります。
申し込み期限: 平成29年3月10日金曜日 3月14日まで受け付けます。

米・OSTP、PPPを用いた実験についての政策ガイダンスを発表

2014年、オバマ政権は、機能獲得型(GOF)実験がもたらす利益とリスクを再評価するための政策を打ち出した。その政策によって、徹底的かつ広範にわたっての審議を行うプロセスが完了するまでは、インフルエンザ、MERSおよびSARSウイルスの病原性や感染性を高めるGOF実験には、当面、資金が提供されないこととなった。

2016年、米・バイオセキュリティ国家科学諮問委員会(NSABB)は、審議プロセスの成果として、「GOF実験の評価と監視のための提言(Recommendations for the evaluation and oversight of Proposed Gain of Function Research)」をまとめた。

今回、ホワイトハウスの科学技術政策局(OSTP)は、NSABBの提言に基づいて、「パンデミックの潜在性がある病原体(PPP)の留意と監視のレビューメカニズムを創出するための推奨政策ガイダンス(Recommended Policy Guidance for Departmental Development of Review Mechanisms for Potential Pandemic Pathogen(PPP)Care and Oversight)」を発表した。

OSTPのガイダンスでは、「懸念のあるGOF実験」という用語ではなく、「PPPを用いた実験」という用語が使用されている。ガイダンスには、PPPを用いた実験を行うための原則、プロジェクトの承認プロセス、リスク軽減のための方策などが示されている。

White House announces review process for risky virus studies
Science Monday, January 9, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/01/white-house-announces-review-process-risky-virus-studies

Recommended Policy Guidance for Potential Pandemic Pathogen Care and Oversight
White House Monday, January 9, 2017
https://www.whitehouse.gov/blog/2017/01/09/recommended-policy-guidance-potential-pandemic-pathogen-care-and-oversight

バイオセキュリティの脅威についての報告書

デンマークのバイオセキュリティおよびバイオプリペアドネスセンターは、個人、テロ組織、および国家による生物攻撃の脅威についての報告書を公開した。生物兵器攻撃が起きる可能性は低いものの、起きた場合の被害の大きさは計り知れない。ゆえに、報告書では、バイオセキュリティおよびバイオプリペアドネスの重要性が強調されている。

Biological Security Threats — Situation Report on Biological Attacks, Weapons Development and Misuse

Biological Security Threats Wednesday, December 14, 2016

https://www.biosikring.dk/no_cache/nyhed0/article/385/361/

BWC第8回運用検討会議終了

2016年11月7日から25日にかけて開催されていた生物兵器禁止条約(BWC)の第8回運用検討会議が終了した。第8回運用検討会議では、BWC強化のための建設的な議論が行われることが期待されていたが、各国の主張が折り合わず、前回よりも議論が後退した感があると伝えられている。これまで運用検討会議がない年には、専門家会合と締約国会合が開催されていたが、今後、専門家会合は開催されないこととなった。履行支援ユニット(ISU)の設置および信頼醸成措置(CBMs)は、今後も継続されることになっている。

BTWC 8th RevCon Final Document

Arms Control Low Friday, November 25, 2016

https://armscontrollaw.com/2016/11/25/btwc-8th-revcon-final-document/

米・NAS、機能獲得型実験についてのシンポジウムのレポートを公開

米国科学アカデミー(NAS)は、2016年3月10、11日に開催した機能獲得型実験(gain of function research)についてのシンポジウムでの議論をまとめたレポートを公開した。シンポジウムは、機能獲得実験に助成金を提供するための新たな政策枠組みを形成するプロセスにおいて、科学コミュニティとの議論を深める役割を担うものとして位置づけられていた(関連記事は、こちら)。レポートには、実験がもたらす利益とリスクの評価、米国の政策が実験に与える影響および国際的な枠組みの必要性などについての包括的な議論が掲載されている。

Gain-of-Function Research: Summary of the Second Symposium, March 10-11, 2016

The National Academies Press, May 2016

http://www.nap.edu/catalog/23484/gain-of-function-research-summary-of-the-second-symposium-march?utm_source=NAP+Newsletter&utm_campaign=43fc93366b-Final_Book_2016_06_21_23484&utm_medium=email&utm_term=0_96101de015-43fc93366b-102081629&goal=0_96101de015-43fc93366b-102081629&mc_cid=43fc93366b&mc_eid=9f0dd3f469