カテゴリー別アーカイブ: バイオテロリズム

バイオテロ(意図的生物剤散布)に対する対応のステークホルダーマッピング

米・ジョージタウン大学が作成するウェブサイトDeliberate Biological Event Stakeholdersを紹介する。意図的に生物剤が散布された場合の対応のステークホルダーとその役割、対応のベースとなる文書、支援の要請メカニズムが対応フェーズに併せてインタラクティブなウェブサイトで図示されている。秀逸なステークホルダーマッピングである。

 

第4回研究会動画:冒頭ご挨拶&演題3「公衆衛生とセキュリティの連携強化に向けて」

去る7月25日に第4回バイオセキュリティ研究会を開催しました。

いくつかの動画をアップいたします。

主催者挨拶より

演題3:公衆衛生とセキュリティの連携強化に向けて
齋藤智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部 上席主任研究官

慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学助教、同大グローバルセキュリティ研究所研究員を経て、2011年より厚生労働技官。厚生労働省健康危機管理対策室国際健康危機管理調整官、結核感染症課課長補佐を経て、2014年4月より現職。

生物テロのような意図的な要素を含むアウトブレイクへの事前準備(preparedness)や対処には、感染症に対する公衆衛生対応能力のみならず、セキュリティ部局との連携が重要になる。現在のグローバルな問題認識について概説する。

 

ドイツ・ケルンでチュニジア出身の29歳男性が、リシンを製造し、攻撃を企図していたとして逮捕された。原料となる3150個のトウゴマの種子と84.3mgの精製リシンが押収された。攻撃対象は明らかではないが、爆弾の製造も試みていたとされる。イスラム過激派との接触もあったようだが、テロリストグループとの具体的な関連は不明。

http://p.dw.com/p/2zxTs?maca=en-Twitter-sharing Cologne ricin plot bigger than initially suspected

第4回バイオセキュリティ研究会を開催します。

第4回バイオセキュリティ研究会

< 申し込みはこちらからお願いします >

より詳細なプログラムはこちらをご覧ください。

グローバルな感染症の脅威への対策は、伝統的な学問領域の境界を逸脱しつつある。従来は公衆衛生の問題と考えられていた感染症の流行が、いまや国家や国際社会の危機管理上の最優先課題として度々取り扱われている。他方、安全保障学・政治学の分野でも、生物兵器・テロ対策の文脈から永く議論されてきたが、現実的な対応には公衆衛生の専門家の存在は欠かせない。分野横断的にグローバルなバイオセキュリティのランドスケープを捉えることで問題を整理し、既存の学問体系を再整理して現実に即した解決を提示する新たな学問領域のフレームワークを提示していくことが本研究会の目的である。

第4回研究会は、第2回研究会に続き「生物兵器禁止条約」をテーマとして取り上げる。2016年の第8回運用検討会議では議論が決裂し、本条約下での活動が大幅に縮小する事態となった。その後の締約国会合で新たな会期間活動に合意がなされ、再びこの枠組みでの議論が進展しつつある。本研究会では、本条約下での新たな会期間活動の内容を俯瞰しつつ、生物兵器対策のコンテクストで議論されるトピックスについて検討を行う。

プログラム

演題1:生物兵器禁止条約の議論の進展
礒崎恒明 外務省軍縮不拡散・科学部生物・化学兵器禁止条約室長

演題2:生物兵器の脅威と北朝鮮
「国家主体(北朝鮮を含む)およびテロ組織による生物兵器計画」
              (タイトルを変更しています)
古川勝久 国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会(1718委員会)専門家パネル元委員

演題3:公衆衛生とセキュリティの連携強化に向けて(仮題)
齋藤智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部

演題4:生命科学のデュアルユース性ー ゲノム合成など新たな技術の評価
四ノ宮成祥 防衛医科大学校分子生体制御学講座

演題5:ゲノムスケールDNA合成技術によるセーフティとセキュリティの向上
木賀大介 早稲田大学理工学術院

日時

平成30年7月25日(水)13:30~17:00
場所:AP新橋虎ノ門 会議室C+D
東京都港区西新橋1丁目6番15号NS虎ノ門ビル11階

参加申し込み

申し込みはこちらからお願いします。

アクセスできない場合は、ご所属、氏名を添えて以下のアドレスにメールでお申し込みください。
seminar(アットマーク)biosecurity.jp ( (アットーマーク)を@に変えて送信してください)

定員(90名)に達し次第締め切ります。
申し込み期限: 平成30年7月20日金曜日 7月23日月曜日まで延長しました。

講演については演題や演者を予告なく変更する場合があります。

 

 

野兎病ワクチン ATI-1701の研究開発

Appili Therapeutics社は、野兎病ワクチン ATI-1701の臨床前および臨床検査を行うための契約をカナダ国立研究機関(National Research Council of Canada:NRC)と結んだ。野兎病菌(tularemia)は、バイオテロに用いられる可能性が高い病原体として知られている。

ENTREVESTOR: Halifax Firm, NRC Look to Develop Bioweapon Vaccine

Herald Business Monday, January 8, 2018

http://thechronicleherald.ca/business/1534935-entrevestor-halifax-firm-nrc-look-to-develop-bioweapon-vaccine

英国ウイルトンパーク報告書:意図的生物剤撒布への対応

国際会議”意図的生物剤散布への対処:効果的で調和された国際的な行動のための要件”
Responding to deliberate biological release: the requirements for effective, coordinated international action 報告書

近年、生物兵器禁止条約(BWC)の中でも第7条が定める「発生時の支援」に関連する議論が活発になっている。第7条の実施強化は,2012-2015の会期間活動の中でも、2014・2015年の2カ年議題として取り扱われてきた。さらに、シリアでの度重なる化学兵器の使用は、効果的な国際的支援の困難さを浮き彫りにするとともに、事前準備の必要性が認識された。期せずして発生した2014-2015年の西アフリカのエボラウイルス病アウトブレイクでも国際社会の準備不足を露呈した。第7条を実施するにあたっては、さらに様々な関係機関の協調的活動には困難が予想され、現実的な法的、ロジ、運用等課題があることが認識されている。

すでに2016年にWilton Parkではエボラ対応の教訓について会議が開催され検討がなされており、これが意図的な散布であった場合には非常に状況が複雑になることはすでに指摘されている。第8回BWC検討会合でも議論されたが具体的な合意には至らなかったものの、「対応能力が事前に必要」と述べ、会期間活動で指摘された必要要件を強調している。グローバルパートナーシップのバイオセキュリティWGやGHSAのパッケージの対応2でも優先事項となっている。

9月末に行われたこの会議は、これらの取り組みを支援し、国際的な対応協調がどうすれば効果的になるか、実務志向の明確な提言を作成するために行われた。本会議は英国外務省の執行組織であり、安全保障領域を含めた数多くの国際会議をホストするWilton ParkとGlobal Affairs Canadaとジョージタウン大学グローバルヘルス科学・安全保障センターの共催により行われ、このたび、その報告書がウェッブに公開された。

意図的生物剤撒布に対しては、感染症アウトブレイクの多様性、主担当となる国際機関の欠如、多数存在する関係者の役割や責任が定まっていない、BWCにおける対応調整能力の欠如、第7条に基づく支援要請プロセスや支援内容が不明確であること、軍の役割に関する懸念(エボラの発生時に軍がアウトブレイクの支援に出ていた事例があるが、そのような「自然発生」と考えられている状況が「意図的撒布の疑いあり」という状況に変わった時、その場に居る軍隊は微妙な立ち位置に立たされる、という懸念)、対応手順(SOPs)の欠如など、様々なチャレンジが存在していることを指摘し、専門家や関係機関によるワーキンググループを組織し、これらの解決策を検討すべきと提言している。また、公衆衛生と法執行機関の情報共有や、各国の既存のCBRN対応手順の国際対応への応用、chain of custodyを維持しながらの検体のパッケージングや輸送手順の整備等を提言している。

Responding to deliberate biological release: the requirements for effective, coordinated international action (WP1556)

バイオテロ対策のための訓練に住民から不安の声

米・国土安全保障省(DHS)は、オクラホマ州のNewkirkという町で、バイオテロに対応するための訓練を行うと発表した。訓練では、化学物質の散布が行われることになっている。DHSは、化学物質が無害であると説明しているが、住民のあいだでは不安の声があがっている。

Oklahoma Border Town Leery of Planned Bioterror Test

U.S. News Friday, December 8, 2018

https://www.usnews.com/news/best-states/kansas/articles/2017-12-08/oklahoma-border-town-leery-of-planned-bioterror-test

ヨーロッパの専門家、ドローンによる生物兵器散布の可能性に言及

ヨーロッパのテロ対策の専門家であるGilles de Kerchove氏が、ISISがドローンを使って致死的なウイルスを散布する可能性があるとロンドンの会議で言及した。アルカイダやISISなどのテロ組織は、すぐに自宅で生物兵器を製造するようになるであろうと警鐘を鳴らしている。

Isis ‘will use drones to spread deadly viruses’, warns EU security chief

EveningStandard Friday, November 24, 2017

https://www.standard.co.uk/news/world/isis-will-use-drones-to-spread-deadly-viruses-warns-eu-security-chief-a3700506.html

 

米・CDC、GHSAに貢献するための活動

米・疾病対策予防センター(CDC)は、グローバル・ヘルス・セキュリティ・アジェンダ(Global Health Security Agenda:GHSA)に貢献するための活動を17の国で行っている。その活動についての記事が、Emerging Infectious Diseasesに掲載されている。GHSAは、国際保健規則(International Health Regulations:IHR)に基づいてキャパシティ・ビルディングを促進するための国際的なイニシアチブである。

Contributions of the US Centers for Disease Control and Prevention in Implementing the Global Health Security Agenda in 17 Partner Countries

Emerging Infectious Diseases, November, 2017

https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/23/13/17-0898_article

北朝鮮の生物兵器プログラムに関する報告書

米国ハーバード大学ベルファー科学・国際問題研究所が北朝鮮の生物兵器プログラムに関して報告書をまとめている。北朝鮮の生物兵器プログラムについて文献的に知られていることをまとめ、また、米国、韓国の生物兵器対策の現状を併せてまとめ、監視体制に関する提言を行っている。

North Korea’s Biological Weapons Program: The Known and Unknown | Belfer Center for Science and International Affairs