2016年12月1~2日に開催された日本バイオセーフティ学会にて、本研究班メンバーによるシンポジウム「バイオセーフティとバイオセキュリティ」が開催されました。研究代表の齋藤と防衛医科大学四ノ宮教授が座長を務め、「感染症を安全保障の視点から見る」をテーマに4演題を発表しました。
まず、齋藤が、感染症を公衆衛生と安全保障の両極から見る概念として、バイオセキュリティという概念の意味するところと国内外の関連政策ランドスケープを紹介し、その重要性を述べた。牧野氏は、公衆衛生と安全保障、そして公平性の三極の対立構造の中心に位置する感染症対策における病原体管理の問題とその問題解決枠組みについて述べた。天野氏は、生物兵器禁止条約の遵守確保の方策の一つである「信頼醸成措置(CBM)」について解説し、つい先日、BWC運用検討会議が失望する結果に終わった中での今後の役割について述べた。最後に、四ノ宮氏は、バイオセキュリティの観点からのデュアルユース問題を取り上げ、近年の政策背景を解説した。
最後に、座長の齋藤より、感染症対策が国家安全保障の問題と取り上げられることで、BSL4施設の大臣指定等に政策的進展の正の側面がある一方で、病原体管理等、公衆衛生側には負担が重くなりつつある負の側面があることを述べた。そして、煩わしかろうと、セキュリティ側と自ら対話を行なっていくことが欠かせない時代であることを述べ、散会した。
齋藤智也.「バイオセキュリティ:感染症X公衆衛生X安全保障」
牧野友彦.「バイオセキュリティと病原体管理.」
天野修司.「バイオセキュリティとBWCのCBMs.」
四ノ宮成祥.「バイオセキュリティとデュアルユース問題.」

(写真提供:牧野先生)