カテゴリー別アーカイブ: バイオセーフティ

JEE報告書の分析

合同外部評価(Joint External Evaluation:JEE)は、国際保健規則(International Health Regulations:IHR)で規定されているコア・キャパシティの19の技術的な部分を評価するためのプロセスである(関連記事は、こちら)。JEEを受けた52の国(2017年7月19日時点)のうち39の国の報告書が公開されている。その39の国の報告書を分析した結果についての記事が、Nuclear Threat Initiative(NTI)のウェブサイトに掲載されている。

記事では、「74%の国で、政府の包括的なバイオセーフティおよびバイオセキュリティシステムのための能力がない、あるいは限られている。64%の国で、バイオセーフティおよびバイオセキュリティの訓練および実践のための能力がない、あるいは限られている。41%の国で、生物事案が疑われる、あるいは確認されたときの公衆衛生と安全保障の関係機関をリンクさせる能力がない、あるいは限られている」という分析結果が示された。

WHO Data Demonstrates Weaknesses in Biosecurity and Biosafety Systems Worldwide

Nuclear Threat Initiative Thursday, October 23, 2017

http://www.nti.org/analysis/articles/who-data-demonstrates-weaknesses-biosecurity-and-biosafety-systems-worldwide/

バイオセーフティ

日本国内の病原体に関する規制
厚労省ホームページ「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」に情報が集約されている。

英国のバイオセーフティ情報
イギリスでのバイオセーフティに関する情報が一元化されている。

カナダのバイオセーフティ・バイオセキュリティ情報
カナダでのバイオセーフティ・バイオセキュリティに関する情報が一元化されている。
バイオセーフティのハンドブックなどへのリンクもあり。

GESTIS Biological Agents Database
ドイツが作成した病原体の取り扱いに関するデータベース。14,000種の病原体に関する基本情報とEUとドイツの取り扱いに関する規制状況の情報を集約。無料で使用可能。

 

米・Toxin Technology社、毒性の高いリシンを販売

米・Toxin Technology社は、初動対応者の訓練用に毒性の低いリシンを販売することになっていたが、実際には、毒性の高いリシンを販売していたことが明らかとなった。2011年から、初動対応者の訓練施設で、毒性の高いリシンが使用されていたことになるが、被害の報告は出ていない。米・疾病対策予防センター(CDC)は、すでに同社への立ち入り検査を行っており、今後の対応が注目されている。

CDC concludes inspection of lab that supplied ricin; matter under review

The Anniston Star Thursday December 29, 2016

http://www.annistonstar.com/news/local/cdc-concludes-inspection-of-lab-that-supplied-ricin-matter-under/article_510e5e5a-ce18-11e6-9e69-af3f4d55c8b5.html

韓国パスツール研究所の科学者、MERSウイルスの国外持ち出し

昨年(2015年)10月に韓国パスツール研究所(Institute Pasteur Korea)の科学者が、韓国政府およびフランス政府に事前通告をしないまま、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスをフランスに持ち込んでいたことが明らかになった。そのような行為は、フランスの法律および国連の規制の枠組みに違反しているが、韓国の法律では、違反とはならない。

MERSウイルスは、通常の旅客機で運ばれていたが、それによって感染者が発生していたかどうかは定かではない。ウイルスは、フランスのパスツール研究所ですでに処分されている。

Pasteur Institute breaches MERS biosecurity rule

The Korea Times Wednesday, October 5, 2016

http://www.koreatimes.co.kr/www/news/nation/2016/10/116_215423.html

米国、Bacillus cereus Biovar anthracisを第1階層生物剤に分類

米国では、テロに用いられる可能性のある病原体は、指定生物剤・毒素(select agents and toxins)に分類されている。米国のバイオセキュリティ規制は、指定生物剤・毒素を対象に整備されている。指定生物剤・毒素のなかでも、特にリスクの高い病原体は、第1階層生物剤(Tier 1 Agents)に分類されており、さらに厳しい管理体制が求められている。

2016年9月14日の連邦官報(Federal Register)によって、Bacillus cereus Biovar anthracisが、第1階層生物剤リストに加えられることになった。Bacillus cereus Biovar anthracisは、炭疽によく似た症状を引き起こすセレウス菌(Bacillus cereus)である。カメルーンやコートジボアールなど、アフリカの限られた地域に分布している。

Possession, Use, and Transfer of Select Agents and Toxins-Addition of Bacillus Cereus Biovar Anthracis to the HHS List of Select Agents and Toxins

Federal Register Wednesday, September 14, 2016

https://www.federalregister.gov/documents/2016/09/14/2016-22049/possession-use-and-transfer-of-select-agents-and-toxins-addition-of-bacillus-cereus-biovar-anthracis

米・CDC、FSAP報告書を公開

米・疾病対策予防センター(CDC)は、連邦政府の指定生物剤プログラム(FSAP)についての報告書を公開した。2015年は、291の実験施設が、指定生物剤を扱うための登録を行っている。報告書には、記録ミスやサンプルの誤った破壊によって、12の指定生物剤が紛失されたと記載されている。偶発的な暴露の可能性がある出来事は、199回あったとされている。

Federal report discloses incidents in high-containment labs

CIDRAP Friday, July 1, 2016

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2016/07/federal-report-discloses-incidents-high-containment-labs

Federal Select Agent Program first annual report released

CDC Thursday, June 30, 2015

http://www.cdc.gov/media/releases/2016/a0630-fsap.html