第6回バイオセキュリティ研究会:講演概要

第6回研究会の開催が今週土曜日に迫ってまいりました。
まだお席には余裕がありますので、金曜日まで出席登録を受け付けます。

講演のスケジュールと概要を掲載します。

13:05~14:00
演題1「バイオセキュリティのランドスケープ」
演者 齋藤 智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部 上席主任研究官
略歴:慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学助教、同大グローバルセキュリティ研究所研究員を経て、2011年より厚生労働技官。厚生労働省健康危機管理対策室国際健康危機管理調整官、結核感染症課課長補佐を経て、2014年4月より現職。

概要:「バイオセキュリティ」という言葉は文脈によって様々な意味で使われる。本研究会では、「バイオセキュリティ」を生物害に対する防御政策・対策の中でも、防御の対象を人、発生の文脈としては意図的なものから自然発生まで、対策のフェーズとしては、予防的な措置から対応まで、広くカバーする概念として捉え、グローバルな取組みを公衆衛生と安全保障の両面から捉えて検討してきた。4年間の取組みを振り返りつつ、公衆衛生と安全保障、双方の視点からの感染症脅威への対処ランドスケープの現状を解説する。

14:00-14:45
演題2「バイオセキュリティのグローバルガバナンス」
演者 田中 極子 防衛省防衛研究所 主任研究官
略歴:外務省専門調査員として在オランダ大使館および在ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部にて、軍備管理及び軍縮に携わる。その後、内閣府国際平和協力研究員を経て2013年より防衛省防衛研究所にて勤務。2018年4月より国連安保理決議1540委員会専門家グループメンバー。学術博士(国際基督教大学)。

概要:バイオ技術の発展に伴う生物剤のデュアルユース問題は、安全保障領域や、公衆衛生領域といった既存の問題領域を超えたグローバルな課題となっている。本演題では、生物兵器禁止条約を中心とした既存の生物兵器の不拡散の枠組みが、その有用性を維持するために、異なる問題領域との相互連携、さらに科学者コミュニティを含む多様な行為主体との連携を通して、グローバル・ガバナンスへと発展している様態を紹介する。

14:45-15:00 休  憩

15:00-15:45
演題3「合成生物学・遺伝子工学とデュアルユース」
演者 木賀 大介 早稲田大学理工学術院 教授
略歴:東京大学理学部卒、同大学院博士(理学)。科学技術振興事業団横山情報分子プロジェクト研究員、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターリサーチアソシエイト、東京大学大学院総合文化研究科 助手、東京工業大学助教授・准教授を経て2016年から現職。専門は合成生物学、生物物理学、生化学

概要:社会実装を目標とする新技術分野は、新たなリスクを生じうると同時に、新たな安全性向上技術の開発にもつながる。合成生物学は、遺伝子の改変による遺伝子工学をデザイン戦略の確立によって効率よく大規模化することを可能にしている。この合成生物学の発想は、ゲノム合成やゲノム編集技術の進展とあいまって、生命機能の大幅改変をもたらすことが想定されており、研究分野内でもデュアルユースの議論が進んできた。本講演では、これらの現状について紹介し、より広い分野の専門家の皆さんとの議論の種としたい。

15:45-16:30
演題4「デュアルユースが懸念される研究とその教育」
演者 四ノ宮 成祥 防衛医科大学校分子生体制御学講座 教授
略歴:海上自衛隊医官として勤務後、防衛医科大学校・生物学助教授、同・微生物学助教授を経て、2007年から現職。医師、博士(医学)。専門は、微生物・免疫学、分子腫瘍学、潜水・高圧医学、バイオセキュリティ。

概要:生命科学におけるデュアルユース問題は、バイオセキュリティの中でも中核をなす課題である。本演題では、「デュアルユースが懸念される研究」としてこれまでに取り上げられた事例を振り返るとともに、近年急速に発展しているゲノム編集技術のデュアルユース性にも言及し、その問題の広がりを議論したい。併せて、研究者を含めた多くのステークホルダーに対する教育の在り方や、我々が行ってきている試みについて紹介したい。

16:30-16:55
総合討論:次世代のバイオセキュリティ

モデレーター:齋藤智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部 上席主任研究官

16:55 閉会挨拶

17:00 閉会