炭疽菌芽胞は常温で80年生存可能か?

ノルウェーの博物館のコレクションの一つに、小さな毛細管が埋め込まれた角砂糖がある。1917年にスパイとサボタージュ容疑で逮捕されたBaron Otto Karl Robert von Rosenが所持していたもので、ドイツが第一次大戦時に、軍馬を狙った一種の生物兵器とされている。80年経ったこのサンプルから、炭疽菌DNAを検出し、また、炭疽菌の培養に成功した、と1998年にNatureに報告があった。

この報告は、炭疽菌芽胞は環境での生存能力が高く、80年でも生存可能、ということを示す証拠とされていた。しかし、最近mbio誌で報告された次世代シークエンシング(NGS)による詳細な遺伝子解析によると、この培養に成功した炭疽菌は、当時培養が行われた英国の施設で使用していた炭疽菌Ames株のコンタミである可能性が高いことが指摘された。