来週3月15日に開催が迫りました第2回バイオセキュリティ研究会のアジェンダを公開致します。
参加登録がお済みでないかたはこちらからご登録をお願い致します。アクセスできない場合は、ご所属、氏名を添えて以下のアドレスにメールでお申し込みください。
seminar(アットマーク)biosecurity.jp ( (アットーマーク)を@に変えて送信してください)定員(90名)に達し次第締め切ります。
申し込み期限: 平成29年3月10日金曜日 3月14日まで受け付けます。
演題1「第8回生物兵器禁止条約運用検討会議報告」 演者 礒崎 恒明 外務省軍縮不拡散・科学部生物・化学兵器禁止条約室長 BWCの枠組みでは,5年に1度,条約の運用を確認するために,運用検討会議が行われている。昨年の11月に第8回運用検討会議が開催され,会期間活動のあり方や国際協力などについて議論が行われた。しかし,西側諸国とNAM諸国,ロシアとは,条約の強化の必要性については一致するものの,会期間活動のあり方については大きく考え方が異なっており,今回の運用検討会議の期間中には妥協が成立せず,最終的にはISUの存続,スポンサーシップの継続を除き,新たな措置について合意が成立しなかった。その結果,今後の会期間活動については本年12月の締約国会合に議論が持ち越されることとなった。本研究会では,今回の運用検討会議を振り返りつつ,BWCにおける各国の主張やBWCの今後について考察する。 |
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演題2「生物兵器禁止条約における対立構造」
演者 田中 極子 防衛省防衛研究所理論研究部社会・経済研究室 主任研究官 BWCは主文15条からなる短い条約であり、締約国による義務の履行を確認するための検証機能も常設機関も有していない。そのため、締約国は独自の脅威認識に基づく実行力強化のためのアプローチを追求している。第8回運用検討会議においては、バイオ脅威に対する各国の認識の相違が明示され、そのためにBWCの実効力強化のアプローチとしての共通認識を築くことができなかった。そこで、生命科学分野の知識や技術に対する保健衛生と安全保障という異なる視点に基づくデュアルユース・ジレンマに注目し、BWCの枠組みにおける各国の対立構造を検証する。 |
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演題3「信頼醸成措置(CBM)の今後の役割」
演者 天野 修司 日本医療科学大学保健医療学部 助教 BWCでは、1986年の第2回運用検討会議で、情報交換によって条約の透明性を高める信頼醸成措置(CBM)の導入が合意された。CBM導入の当初の目的は、「曖昧さ、疑念、疑惑の発生の防止あるいは低減、および平和的な生物学的活動の分野における国際協力の促進」である。当時、「曖昧さ、疑念、疑惑」があると考えられていたのは、国家による生物兵器の開発、生産、貯蔵、取得などの活動であった。しかし、現在では、生命科学の急速な進展によって、技術的には、個人であっても致死性の高い病原体の兵器化が可能になっている。そのような時代の変化にあわせて、CBMの役割がどのように変わってきたかについて検討する。 |
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休 憩 | |
演題4「生命科学のデュアルユース性に関する議論の今後」
演者 四ノ宮 成祥 防衛医科大学校分子生体制御学講座 教授 生命科学のデュアルユース問題、特に病原体研究における悪用・誤用の問題は、2000年頃までは主に「組換えDNA手技による従来型微生物の改変が、典型的な感染症とは異なる病像を呈したり、ワクチン効果や診断技術に影響を及ぼす」といった観点から成されていた。2004年のFinkレポートの問題提起は、まさにこの点を中心とした議論であった。しかし、合成生物学やゲノム編集技術が急速に進歩する現状にあって、デュアルユース性の考え方は大きく拡大する方向にある。また、ここ数年特に問題となったGain of Function (GOF)研究については、Risk-Benefit解析のみでは論じ得ない複雑な背景があり、繰り返しの議論の末にある一定の結論は出たものの、研究の細部を評価するに当たっては不確定な部分が多い。このような現状に鑑み、本パネルでは今後の議論において考慮すべき点を提起する。 |
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演題5「我が国における生命科学者によるデュアルユース問題認識の現状」
演者 峯畑 昌道 科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー 科学技術の誤用・悪用に伴う安全保障上もしくは公衆衛生上の脅威(デュアルユース問題)について、科学者の意識啓発が必ずしも十分でない事実がこれまで国際的に指摘されてきた。我が国では、日本学術会議が2013年に改訂を行った声明「科学者の行動規範-改訂版-」の中には、科学者が研究活動に際して考慮すべき事項として「科学研究の利用の両義性」が明記され、この声明を受けて、病原体研究に関するデュアルユース問題分科会が2014年に提言も発表している。本報告では、我が国の高等教育機関において、どの程度当該問題が認識されているのか、また、何が意識啓発の推進に向けた課題となっているのかを検討する。 |
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総合討論「生物兵器禁止条約の生物兵器・テロ対策における今後の意義」
モデレーター 齋藤 智也 国立保健医療科学院健康危機管理研究部 上席主任研究官 生物兵器禁止条約という外交交渉の場は、生物兵器・テロ対策にどのように寄与してきただろうか。また、今回の運用検討会合における議論の決裂は、生物兵器・テロ対策に今後どのような影響を与えるだろうか。もし、対策の弱体化が懸念されるとすれば、我々はどのような行動をとる必要があるのだろうか。演者・参加者と共に、多様な視点から議論を深めていきたい。 |